ブランドストーリー
恵み。
02

一粒から、一滴となる日のために、
小さな苗は懸命に穂をつけ始める。
一粒から、
一滴となる日のために、
小さな苗は懸命に
穂をつけ始める。

大野市阿難祖(あどそ)地頭方地区で営まれる五百万石の田植えから、およそ2ヶ月の月日が流れた。
ビニールハウスから初めて外へ出た頃は、かわいらしい小さな葉を揺らす程度だった苗も、
梅雨の終わりから、夏を迎える7月中旬には青年期のような稲へと成長している。
大きく鮮やかな緑色の葉をぴんと伸ばしたその姿は、凛々しくもある。
今年も、刺すように暑い日差しと高い気温の夏である。
稲の足元の土はカラカラに乾燥し、表面にはひび割れが見て取れる。
素人目には最も水分が必要だと思われる時期であるのに、田には肝心の水は、無い。
このような過酷な環境にするにはわけがある。
わざと土の水分をなくすことによって、稲は「生きる」ために必要な養分を必死で探しはじめる。
その結果、根を深く、強く張るようになる。
そうすることで、台風などの強い風が吹いても倒れない強い茎に育つのだ。
ただ甘やかすだけでは、健康で丈夫な稲は育たない。
このように育てられる米は、日本酒の味わいや香りを決定づける重要な要素となる。
優れた米と、仕込み作業があいまって、はじめて酒造りの出発点に立てるのだ。
阿難祖地頭方の農家さんは、黒龍酒造が目指す
「上品でふくらみのある日本酒」を仕込むのに適した酒米となるように米作りを行う。
米の育成過程で与える肥料や水分量の具合により、出来上がる米質も変わるため、
毎日の天候と稲の具合を気遣いながら、田への放水と水を抜く作業を何度も繰り返す。
米に含ませる水分量をきめ細やかに調整しながら、理想とする酒米に育て上げるのだ。

苗が一旦根を下ろしてからは、大げさに人の手は加えられない。
つくり手は、水の出し入れ、病気や害虫の被害を受けていないかの生育チェックなど、
できる限りの作業に留め、刈り取りまでは自然に委ねながら成長に気を配る。
田植えから稲刈りまでの期間は、自然という環境の中で、時に厳しく、
そして優しく、まるで家族のように苗と暮らすのである。
米のつくり手は言う。
「稲の声が聞きこえるんやわ。声が聞こえたら、水をいれてやったりな。」

酒蔵で酒造りを仕切る杜氏も、醪を搾る時は醪の声を聞くという。
五感を研ぎ澄まし、醪の発酵の際に立ち上がる香り、
醪の面、櫂入れの手の感触を身体全体で感じ取り、搾るタイミングを掴む。
一方、酒米の生産者の方々は、出穂したばかりの穂を手に取ることで、
天候の変化や気温を肌で感じ取り、稲へ与える水の量等を絶妙に調整する。
「米」と「酒」。「一粒」と「一滴」。
ものは違えど、自然に生きる物が相手だというところは共通している。
母親は、乳を求める幼子の声を、発声の直前に気づく。
それは女性の第六感か、愛情の成せる技なのか。
米と醪の声が聞こえる彼らもまた、営みとは一線を引いた行為に
「感と愛」を働かせているのではないだろうか。
夏のまぶしい日光をあびて、稲は休むことなく少しずつ穂を膨らませていく。
その重みで頭を垂れ初め、稲が大野の大地に吹く風に揺れる様子には感動さえ覚える。
田植え以降、立派な稲に育ってくれるよう、毎日かかすことなく苗の健康をチェックし、
徹底した管理を怠らなかった生産組合の方々の、苦労と努力が垣間見えるのだ。

大野市阿難祖(あどそ)地頭方地区で営まれる五百万石の田植えから、およそ2ヶ月の月日が流れた。ビニールハウスから初めて外へ出た頃は、かわいらしい小さな葉を揺らす程度だった苗も、梅雨の終わりから、夏を迎える7月中旬には青年期のような稲へと成長している。大きく鮮やかな緑色の葉をぴんと伸ばしたその姿は、凛々しくもある。
今年も、刺すように暑い日差しと高い気温の夏である。稲の足元の土はカラカラに乾燥し、表面にはひび割れが見て取れる。素人目には最も水分が必要だと思われる時期であるのに、田には肝心の水は、無い。このような過酷な環境にするにはわけがある。
わざと土の水分をなくすことによって、稲は「生きる」ために必要な養分を必死で探しはじめる。その結果、根を深く、強く張るようになる。そうすることで、台風などの強い風が吹いても倒れない強い茎に育つのだ。ただ甘やかすだけでは、健康で丈夫な稲は育たない。
このように育てられる米は、日本酒の味わいや香りを決定づける重要な要素となる。優れた米と、仕込み作業があいまって、はじめて酒造りの出発点に立てるのだ。
阿難祖地頭方の農家さんは、黒龍酒造が目指す「上品でふくらみのある日本酒」を仕込むのに適した酒米となるように米作りを行う。
米の育成過程で与える肥料や水分量の具合により、出来上がる米質も変わるため、毎日の天候と稲の具合を気遣いながら、田への放水と水を抜く作業を何度も繰り返す。米に含ませる水分量をきめ細やかに調整しながら、理想とする酒米に育て上げるのだ。

苗が一旦根を下ろしてからは、大げさに人の手は加えられない。つくり手は、水の出し入れ、病気や害虫の被害を受けていないかの生育チェックなど、できる限りの作業に留め、刈り取りまでは自然に委ねながら成長に気を配る。田植えから稲刈りまでの期間は、自然という環境の中で、時に厳しく、そして優しく、まるで家族のように苗と暮らすのである。
米のつくり手は言う。
「稲の声が聞きこえるんやわ。声が聞こえたら、水をいれてやったりな。」

酒蔵で酒造りを仕切る杜氏も、醪を搾る時は醪の声を聞くという。五感を研ぎ澄まし、醪の発酵の際に立ち上がる香り、醪の面、櫂入れの手の感触を身体全体で感じ取り、搾るタイミングを掴む。
一方、酒米の生産者の方々は、出穂したばかりの穂を手に取ることで、天候の変化や気温を肌で感じ取り、稲へ与える水の量等を絶妙に調整する。
「米」と「酒」。「一粒」と「一滴」。ものは違えど、自然に生きる物が相手だというところは共通している。
母親は、乳を求める幼子の声を、発声の直前に気づく。それは女性の第六感か、愛情の成せる技なのか。米と醪の声が聞こえる彼らもまた、営みとは一線を引いた行為に「感と愛」を働かせているのではないだろうか。
夏のまぶしい日光をあびて、稲は休むことなく少しずつ穂を膨らませていく。その重みで頭を垂れ初め、稲が大野の大地に吹く風に揺れる様子には感動さえ覚える。田植え以降、立派な稲に育ってくれるよう、毎日かかすことなく苗の健康をチェックし、徹底した管理を怠らなかった生産組合の方々の、苦労と努力が垣間見えるのだ。

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