黒龍ブランドストーリー

黒龍への愛が、
特別な酒米を生み出してくれる。

稲刈りが終了した田には、刈り取られた稲の茎だけがつんつんと土に差し込まれたように残っている。黄金色の穂が溢れんばかりに実り、田一面を覆っていた頃と比べると、どこかさみしげな光景だ。しかし、これで酒米作りの仕事が完了したわけではない。来年に向けた田づくりという大切な作業が待っている。

まず、稲刈りから2~3週間後、稲の茎が残っている田へ、約1トンにも及ぶ堆肥を入れる。ぬかと牛ふんを混ぜた良質で栄養たっぷりの堆肥は、土壌に混ぜることによって、土の栄養を補給してくれるからだ。

田に含まれる栄養素は、稲が成長するための養分として吸収され、失われてしまう。稲刈りを終えたままの枯れた土では、次の立派な酒米は育たない。
そのために、一回の米作りが終わる毎に、土に養分を補給してやる必要がある。しかもここで投入する堆肥は、その田の地質にあった量でなければならない。その年に刈り取った酒米の出来や天候などの様子から、適量を見極める確かな目が必要となる。

まかれた堆肥は、すぐに専用の機械を使用して田の土とかき混ぜられていく。気温が高いうちに田の土に混ぜ込むことによって、刈り取りで残った稲の茎が、あたたかい土に埋まり、やがて腐って発酵する。
これもまた、天然の良質な堆肥となり、翌年育つ稲の大切な栄養分となるのだ。

現代では農業技術の向上などの理由で、堆肥の原料を生み出す馬や牛を飼う農家が格段に減っている。そのため、一般には化学肥料を使用する農家が多くなったが、「味の郷生産組合」では更なる米質の向上を図るための新たな取り組みとして、旧来の堆肥を使用した土作りをはじめている。
県内において、土作りの段階から堆肥を投入して酒米作りを行う農家は珍しい。手間と労力のかかる大変な作業だが、より良い品質の酒米を育て上げるためには、努力を惜しまない。
自然環境に配慮した酒米作り。これもまた、私たちに豊かな恵みを与えてくれる酒米作りのための、挑戦のひとつなのである。

理想とするお酒、酒米をつくるには、黒龍酒造と「味の郷生産組合」とで意識を共有し、お互いの信頼関係を築くことがとても重要となる。米農家と蔵元は、まさに運命共同体と言えるであろう。
前回ご紹介した懇親会開催をはじめ、黒龍酒造社員による田植え、稲刈りへの参加や、組合の方々に黒龍の酒造りを知っていただくための研修会など、多岐に渡る交流の場を設け、お互いの仕事に対する知識と関心を深めている。

「黒龍の酒米を作ってることを誇りに思うてる。」

生産組合の方がつぶやいた一言からは、黒龍酒造との間に生まれた強い「絆」を感じることができる。こだわりを抱くつくり手同士が互いを理解し合い、固い絆を育み、良いものを生み出す。
「味の郷生産組合」と黒龍酒造の醸す酒が、日本、そして世界へ豊かな和を醸し、笑顔を創り出してくれることを願いながら、日々挑み続けているのである。

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