黒龍ブランドストーリー

形を愛で、手にとり、そそぎ、香り、味わう。
この酒は、いよいよ五感に語りはじめる。

ボトルに惹かれてなにかを購入したり、空になったボトルに別のなにかを詰めて使用したり、ガラスでできたボトルを気に入り、このような経験をした人は多いと思う。さて、世界中のワインや洋酒のボトルなどは色も形も実に千差万別であるが、日本酒となるとどうだろう。自らの味や品格を堂々と全身で表現しているボトルは、まだまだ少数派なのではないか。今回は、黒龍酒造が考える、ボトルについての話題である。

2008年9月1日、黒龍酒造は生産している主要商品の720mlボトルを、オリジナルデザインのボトルに切り替えた。これはその日の福井新聞に掲載された8代目蔵元水野直人の言葉である。
「私たちは3年前、フランス、パリにあるホテル・リッツの支配人に、弊蔵の商品を紹介する機会に恵まれました。そこで印象に残った支配人の言葉が『(ボトルは)日本らしい形がいいですよ。お客様は日本を楽しむのですから』でした。清酒は、味わいも含め、すべてにおいて日本を感じさせることが大切だというのです。伝統文化としての酒造りを継承する者として、改めて原点に立ち返った思いがしました。そうした体験を通して、今年、私たちは黒龍酒造としての形を表現するために、720mlボトルを一新しました。この商品が人々の暮らしにとけ込み、飲む人、飲む場所にまで思いを込めて、これからの時代を超えて皆様に末永く愛されていく事を心より願っております」

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オリジナル720mlボトルは、清酒文化が世界的に広がる中、国内外において「伝統と斬新さ」を感じていただけるデザインを考えた。ここで重要なのはその存在がいかに「普通」であるかということ。水野の言葉にもあるように、商品は自然体で「人々の暮らしにとけ込む」ことが大切なのだ。清酒の多くは日常生活の中で使われることを想定されるから、日常の中で美しく存在しなければならない。しかしながら、清酒はまた「ハレ」の日にも活躍するものだから、日常を壊さない程度の「特別(非日常)」も必要とするのである。その絶妙なセンス、バランスがこのボトルに現われている「伝統と斬新さ」なのだ。

さらに、古布をモチーフとしたラベル、一升瓶でお馴染みの王冠栓、抜栓後もすっきりとした注ぎ口周り、これまでの清酒ボトルにはない全体のシルエットと機能美。このボトルを一目見れば黒龍酒造の商品であることを認識していただけるボトルとなっている。

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ボトルの肩には黒龍酒造のシンボルマークを凹凸(おうとつ)で表現。このシンボルマークには2つの由来がある。ひとつは黒龍酒造の屋号でもある「石田屋」の「石」の文字。角が天を向いているシンボルマークを時計の反対回りに45度回転させると、漢字の石となる。もうひとつは、酒蔵のシンボル「酒林(さかばやし、杉玉のこと)」。シンボルマークは四角ではあるが、杉の玉の上に笠が掛かっている様子をイメージしたマークとなっている。

このように、思いを込めたボトルであるが、なにしろガラス製品である。落とすと割れる、という当然のことも形あるものを慈しむこころに結びつくのではなかろうか。世界の人に、このボトルを手にとっていただき、自然とやさしい気持ちになっていただくことも、黒龍酒造がボトルに与えたひとつの願いでもある。

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