黒龍ブランドストーリー

沈黙の貯蔵。
最後の鍛錬に育て上げられた旨み。

酒の味を左右する要因として良く知られるのが、「米」「水」「酵母」「麹」などではないだろうか。もちろん、どれも酒を搾るまでの醸造に深く関係する工程である。では、酒の味は醪を搾るまでの状態でほとんど決まってしまうかというと、そうとも限らないのだ。搾った後、最も酒質に影響を与える要因に「熟成」がある。原酒をどのような温度でどれくらいの期間熟成させるかという判断で、搾りたての原酒は良くも悪くも変貌を遂げる。

そもそも黒龍酒造が酒蔵としての方向性を吟醸蔵へと深めていく転機となった商品「黒龍 大吟醸 龍」は、現会長の水野正人が渡仏した際、ワインの熟成を清酒に応用できないかと試行錯誤した結果生まれた長期熟成の大吟醸酒であった。
福井の海の味覚は、越前蟹に代表される素材そのものの味を生かしたものが多い。「黒龍 大吟醸 龍」は福井の地酒として、そんな素材の美味しさをさらに引き出せるような酒質を目指していた。まずは料理の邪魔をしない繊細な味わい。それでいて程よい旨みがあり、味わいのバランスがしっかりとれた食中酒を考えた。そして原酒の段階ではやや控えめに味を整え、貯蔵の段階で低温にてしっかりと熟成することで、品の良い旨みや柔らかな舌触りを表現することに行きついた。

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さらに、理想的な熟成を実現する為、2005年に建設された「兼定島酒造りの里」では弊蔵の貯蔵、瓶詰、出荷業務が行われている。昭和50年代に「大吟醸 龍」で培われたノウハウは弊社製品の熟成管理に十分に生かされ、様々な原酒が適温にて貯蔵されている。
例えば、「黒龍 石田屋」。精米歩合35%の兵庫県加東郡東条地区産の特Aランク山田錦を丁寧に低温で醸した純米大吟醸酒である。黒龍銘柄のフラッグシップ商品だが、こちらは氷温にて2〜3年の間、原酒を貯蔵している。新酒時の荒々しい香味や味わいは時と共に丸みを帯び、瓶詰めする頃には落着いた香りときめ細やかな口当たりが特徴の、上品な長期熟成純米大吟醸酒へと生まれ変わる。

「兼定島酒造りの里」には、700平方メートルの原酒冷蔵貯蔵庫、135平方メートルの冷蔵調合室、365平方メートルの製品低温貯蔵庫、65平方メートルの製品氷温貯蔵庫を合わせ、合計1,200平方メートルを越える冷蔵設備を完備している。それに加え、氷温のプレハブ冷蔵庫が2基とサーマルタンクが42基、また氷温コンテナを2基設置し、徹底した温度管理の下、安定した酒質の商品をお客様にお届けできるよう商品管理を行っている。

自然の産物である米と水、それを蔵人が手塩に掛け良質な原酒へと生まれ変わらせる。そして恵まれた貯蔵環境の下、時の流れという目には見えない力を得て原酒は更に味わいを深めていく。自然から人へ、そして時の流れを経て生まれる清酒は、自然界、人間界をはじめ様々な世界の恩恵を受けて生み出される誠に贅沢な飲み物なのである。

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