黒龍ブランドストーリー

純粋で健全な酵母を間違いなく育むという、単純明快なる難関。

酒造りにおいて、「麹」の次の工程は「酒母または酛づくり」と呼ばれている作業。いずれにしても、酒の母もしくは、酉の元と書き、文字通り(※アルコール発酵という観点からみても)酒造りの源と言える。

アルコール発酵の主役は酵母である。酵母の体長は約5μ(マイクロ)。肉眼では到底見ることができない小さな単細胞生物で、水と米からアルコールを生成するという働きをしている。正確に言うと、蒸米、麹、仕込水が入った小さなタンクの中で、麹菌の酵素が米の澱粉を糖に分解し、アルコールを生み出している。当然のことながら、我々酒蔵にとって、酵母とはいかに重要な存在なのがお分かりいただけるだろう。

また酵母はアルコールを造り出すだけではなく、吟醸酒の特徴でもあるフルーティな香りや味わいのバランスに与える影響も大きい。酒蔵が目指す酒質に合った優れた酵母を所有できるかどうかが、酒の味を決める重要な要素となる。

弊社の蔵では、数十種の酵母が超氷温室(-85℃)の中で冷凍保存されている。これらの酵母の中から「黒龍」「九頭龍」の酒質を考慮し、選択、培養を重ねていく。その酵母数は、2週間弱で1ccあたり約3億個に達すると言われ、この酵母と呼ばれる数多くの微生物によって「黒龍」「九頭龍」らしい美味しさを追求しているのである。

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酵母の培養はデリケートで、一歩間違えれば造りの途中で酒を腐らせてしまう腐造という結果を生んでしまう。よって、作業は非常に慎重に行われる。酵母の菌株は無菌空間で植え付けられ、まずはわずかな量の事前培養で安全性を確認。その後、丸底フラスコでの培養へと作業を移し、一定数量まで酵母の菌数が増殖した後、上澄みの培地を除去して、細心の注意のなか純粋な酵母のみを酒母タンクに入れる。

『純粋で健全な酵母を間違いなく育む。』

たったこれだけの、20文字にも満たないシンプルな仕事の中に、最も複雑で失敗が許されない「日本酒製造工程」の難易度が隠されているのである。

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