ブランドストーリー

〇杯から、一杯への想い。

「国酒」と呼ばれ、我が国を代表する清酒の販売数量は、昭和48年の176万6,310klをピークに下降の一途をたどっており、平成21年には63万3,903klに、そして間もなく最盛期の3分の1に落ち込むと予測されている。
国内でかつては酒類全体の30%あったシェアも、現在は7%に縮小し、ビール類のみならず、焼酎やリキュールの後塵を拝するようになってしまった。
そこで、「清酒に興味がない人にも、このお酒の良さを知ってもらう」「清酒の楽しみ方をもっと伝える」ために何をするべきなのかを考えてみた。
そんな思いから、清酒の世界を広げるため、新しい顧客層を開拓するために、小さな地酒蔵が微力ながらも取り組んでいることがある。

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当蔵が開発した「燗たのし」は、ポットのお湯で手軽に「ぬる燗~上燗」にお燗がつけられる酒燗具である。
企画した理由は、業務多忙な飲食店様向けに、なんとかして「九頭龍 大吟醸燗酒」を適温で提供してほしいと願ったことにある。
できるだけ手間が掛からず、またお酒が熱くなりすぎず、かつ面白い演出ができることを狙って開発した。
飲食店様においては、弊蔵商品のみならず、多銘柄の清酒をお客様お好みの温度で提供していただけるようになり、燗酒文化の多様性は広がりを見せてきている。
また、家庭においても、レンジでチンのお燗酒ではなく、湯煎でじっくりと温める風情あるお燗文化の浸透に「燗たのし」が一役買っているようだ。

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また、「黒龍 吟のとびら」は、清酒が苦手な方や、ご存じない方向けに造り上げた。清酒の世界が持つ楽しさに、ぜひ出会っていただきたいと願って企画した商品である。
フルーティーな香りとライトな味わいの、大変飲みやすい大吟醸酒で、清酒らしからぬボトルデザインを施した。
より多くの人に、気軽に吟醸酒の世界の扉を開いてもらえる一本になって欲しいという想いから、価格は150ml入りで400円とお買い求めやすく設定してある。 
さてここで、清酒愛飲家の方に尋ねたい。お店などでお酒をいただくときに「生ビールやカクテルに比べて、清酒の価格が高い」と感じたことがあるだろうか。元々、1合(180ml)単位での提供の慣習がある清酒は、そのアルコール度数(22度未満)の割に1杯あたりの消費容量が大きく、そのせいで注文の際の割高感につながっているのかも知れない。
「黒龍 酒グラス」には、120mlと90mlの容量が計測できる目印がグラスにデザインされており、小容量での提供が容易になっている。飲み口は、吟醸酒の香りが引き立つように口すぼまりの形状である。
日本酒党は、なるべく多くのお酒を味わいたい。でもお銚子だと1品種にしては量が多いし、価格の点ではビールを注文した仲間に申し訳ないと思っている。それならば、「黒龍 酒グラス」にほどよく注がれた1杯が500円以内ならばいかがか。このように、いろいろな清酒を楽しんでいただければ、これまで量的、価格的に閉ざされていた清酒への入り口は少しずつ開かれていくのではないだろうか。

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どんなに美味しい清酒を造っても、飲んでいただかないと始まらない。そのためにも、清酒にまつわる世間のイメージに、私たちもその都度対応していかなければならない。
「国酒、清酒」の新たな広がりのために考えた「燗たのし」、「黒龍 吟のとびら」、「黒龍 酒グラス」とともに、地道ながら「〇杯を、一杯に」していただくための取り組みをこれからも継続していきたいと思う。